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国立音楽院

2023年09月13日

在学中にMIDI出力可能なギターを製作!!2022年度ギタークラフト・リペア科卒業 伊藤武さん【卒業生インタビュー】

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2022年度ギタークラフトリペア科卒業 伊藤武さん【卒業生インタビュー】

こんにちは!ライターのイトーヒカルです!
今回は2022年度ギタークラフト・リペア科卒業、伊藤武さんにインタビューをします!

伊藤さんは在学中にMIDI出力が可能なとんでもギター”CRAZYMASTER”を製作。
私、イトー(本校卒業生)は伊藤武さんと在校している期間が被っていたため、
製作中の様子を見にギタークラフト・リペア科へよく遊びに行っていました(ちなみにCRAZYMASTERと命名したのはイトー)。

CRAZYMASTERは弦の振動から音程を読み取り、MIDI信号へ変換、出力するだけでなく、
各弦の信号を6つのジャックからそれぞれ1弦ずつ出力できるというまさにクレイジーな仕様。
もちろん通常のギターと同じようにモノラルOUTもあります。

伊藤さんは現在、石橋楽器店リペアセンターでギター、ベース修理の仕事をされています。

今回は伊藤さんと石橋楽器店リペアセンターのスタッフ永沢さんに来ていただき、
MIDIギター製作に至った経緯や今のお仕事についてお聞きします!

~ インタビュー ~

イトー:国立音楽院ギタークラフト・リペア科に入学しようと思ったのはなぜですか?

伊藤さん:前からギターが作りたいと思っていて、それを実現する為に入学しました。
リペアよりクラフトが目的だったかな。

イトー:こんなギターが作りたい、とか明確な目標はありましたか?

伊藤さん:学校に入ってみようかなと考えてたときはざっくりとギターを作ってみたい、二十歳の頃ギター作りたかったっていう思いを成就させよう、としか思っていなかったんですけど、入るって決めたころにはこのギター(CRAZYMASTER)っぽいものを作ろうと考えてました。

イトー:若いときそう思ってたのにレスポールとかテレキャスター作りたいじゃなくて、こっち(CRAZYMASTER)にいっちゃったんですか(笑)

伊藤さん:そうそう、これが作りたかったんですよ(笑)だから1年生のときからピックアップの研究を始めてました。

イトー:CRAZYMASTERを作ろうとおもったのは何故なんですか?

伊藤さん:ここに来る前、40歳くらいの時に電気系のことを職業訓練校に行って勉強していたので そことギター作りたいっていうのを繋げられたらいいな、自分が出来そうなことで何か面白そうなことないかなと思って作り始めました。

イトー:結局このギターって何なんでしたっけ。

伊藤さん:MIDIギターでいいんじゃないですか?

リペアセンタースタッフ永沢さん:それが何ギターというかはわかりません(笑)

伊藤さん:パッシブで弾ける+MIDIでも出力できるみたいなのがやりたかった。

イトー:なるほど(笑)

伊藤さん:ギタークラフトリペア科に入って最初のほうはナット、フレットの交換、すり合わせ、打ち直しとか一通り3ヶ月くらいでやるんですけど、それ終わったら各自やりたい課題を持ってきてやるので、僕はピックアップから信号が電気的に自分が分かる形でとれるかみたいなのを放課後にやりはじめました。一応先生といるときはギターのことをやってるフリをして(笑)。

一同:(笑)

伊藤さん:とにかく作りたいギターがあるんだけど、ギターの作り方が全然分からないので1年生のときは1本、何の変哲もないギターを作りました。

イトー:MIDI出力できないギター(笑)

伊藤さん:そうそう(笑) テレキャスターを作りました。それで放課後にピックアップとか電気系統のこと研究して1年終わりましたね。というかギター・クラフト科以外の授業も取りすぎちゃって割と時間がなかった(笑)

イトー:この学校はオープンシラバスで他の学科の授業も取れちゃいますからね。伊藤さんは結構授業をとってましたもんね。

伊藤さん:音楽理論とか作曲系の授業をとってました。1年生の頃は授業料回収しようと空いた時間は取りたい授業で埋めてましたね。

イトー:2年生に上がってから製作を?

伊藤さん:システムのほうは実験をやってある程度目途がついてたんで、モノをつくろうと思ってCRAZYMASTERの絵(設計図)を書き始めました。

イトー:あー!それ、僕もみました。

伊藤さん:なんか1年生が画用紙にボディの絵を描いてて、なんかいいなと思って一枚貰ってこれ(CRAZYMASTER)の絵をかきました。ここにはLEDいれなきゃとかここにはザグリをいれなきゃとか(笑)そこからPCソフトで正しい寸法で部品がちゃんと収まるのかを設計してある程度できたので、実際に作る作業に入りました。あとはあまりギター製作では使わないような加工がでてきたのでそれを先生と相談しながら実験したりしてました。

イトー:2年生はフルにCRAZYMASTERの製作をしていたんですね。

伊藤さん:あ、でも生徒さんが持ってくる楽器のリペアはやってましたよ。

イトー:僕も結構お世話になりました(笑)CRAZYMASTERはいつ完成したんですっけ。

伊藤さん:結構ギリギリだったんですよね。年明けにまだ塗装できてなかったから2月くらいですね。

イトー:このギター実際に使ったりしてますか。

伊藤さん:いや寝かしてますね。

イトー:完成して満足しちゃってる(笑)

伊藤さん:満足しちゃった。あ、でもティム先生(本校ギター講師)が静岡でギターの展示会やるからCRAZYMASTERを出させてくれっていわれてて、そこに向けて再調整しようと思ってます。

イトー:石橋楽器店リペアセンターさんの募集に応募しようと思ったのはいつ頃ですか。

伊藤さん:あれも結構ギリギリですよね。応募したのも3月か4月くらい・・・。

リペアセンタースタッフ永沢さん:3月かな、卒業のタイミングで。そもそも興味をもったのはなんでなんですか?

伊藤さん:1年生の時にリペアセンターのスタッフ村山さん(現在伊藤さんの上司)が就職説明会に来られて、この人面白そうだな・・・と(笑) もちろんギターを作りたくて学校に来てるので1年生のときは全然リペア興味なかったですけど、それがきっかけですね。

イトー:村山さんには今年からギタークラフト・リペア科の特別授業でお世話になってます。

リペアセンタースタッフ永沢さん:入ってみてどうですか、やっぱり面白い人でしたか(笑)

伊藤さん:面白いですねぇ(笑)

一同:(笑)

伊藤さん:あとはより広く、色々な楽器をみたいなと思って。仕事の内容としても、リペアの中では僕が今やってみたいことに近いかなと感じたのもあって応募しました。

イトー:修理するのは石橋楽器店で買い取りをした、中古楽器ですよね。

伊藤さん:そう。いっぱいあるのでスピード感をもってやらなきゃいけない。そうすると色々な楽器をみれるじゃないですか。でもお客さんの1本を預かって修理してお返しするとなるとそうはいかない。

イトー:なるほど。

伊藤さん:あと、こういっちゃアレなんですけど僕の知識はまだ十分とは言えないと思うんです。メーカーがなんだとかどういうブリッジがあるよとか。やりたいことやってただけなので(笑) だけど世の中の楽器がどんなものなのかももうちょっと知りたいなってのもありました。

リペアセンタースタッフ永沢さん:実際そのねらいは当たりましたか。

伊藤さん:いっぱい見れているし、実際どんなものなのかもわかりました。ジャズマスター、ジャガーのブリッジに皆が神経を使っているのは何なんだろうと思って触ってみたら、そりゃ神経使うわっていうのも実感したりとか。

リペアセンタースタッフ永沢さん:リペアセンターのスタッフって、楽器店員のなかでも楽器を多分一番触っている部署だと思います。

伊藤さん:EverTuneってチョーキングしたり強く弾いてもチューニングが変わらないブリッジがあるんですけど、在学中に先生からそういうのがあるよって話をきいてて、どんなもんなんだろうって思ってたら丁度修理に来たんですよ。触らしてもらったら中も壊れててユニットまで分解して修理しました。そういう変わったものまで深く知れるので勉強になります。

イトー:学校で勉強したことで今のお仕事で役に立っていることはありますか?

伊藤さん:戸田先生(ギタークラフト科講師)が理想としている、弦を張ったときのフレットの状態を知れたというのが役に立ってるというか、他では得られない情報ですね。そういうのってあんまり決まってないんですよ。弦を張った時にまっすぐなのが良いのかっていう議論があったり、若干順反りが良いとか、ハイ起きはどうなのとか・・・。弦を張ったときに最終的にこれがいいよっていうのを具体的な話として先生の考えを教えてもらったのでそこを目指して調整できるんです。それが役に立ってるかな。

イトー:答えというか一個のゴール、近づけるべきものがみえているってことですね。

リペアセンタースタッフ永沢さん:それが圧倒的にはやいですよねぇ。

イトー:模索しなくて良いと。

伊藤さん:あと今職場で、あれは材料力学っていうんですかね・・・、曲げとか幾何学とかそういうのを合わせてその先生の言っていたベストな状態って数値でいうとどういうことなのかってのを計算したりしてるんですよ。それで経験ある方たちと、だからそうなるんだとかこういう数値だからこうなるんだね、とたまにお話ししてます。

リペアセンタースタッフ永沢さん:村山とも話します?

伊藤さん:話しました。

リペアセンタースタッフ永沢さん:そういうことが話せるスタッフがいるというのもウチの会社の魅力かな。

伊藤さん:戸田先生が教えてくれたベストなフレットの状態の話は他ではあまり見ないし、会社に入ってからも全く同じ考えで作業している人はいないですね。近しい方向ではあると思いますけど。

リペアセンタースタッフ永沢さん:戸田先生はプレイもされますか。

伊藤さん:されますね。

リペアセンタースタッフ:村山はあまりしないですからね、そこの違いもあるのかな。

イトー:今の仕事の内容をもう少し詳しく教えてください。

リペアセンタースタッフ永沢さん:お客様から買い取らせていただいた中古楽器の修理メンテナンスですね。

イトー:触る楽器は決まってるんですか?

伊藤さん:自分で選べます。

リペアセンタースタッフ:基本的には自分の腕に見合う楽器を選んでもらっています。同じようなものばかり触ってると育たないのでやったことのないようなリペア内容のものも触れて貰うようにしています。

イトー:伊藤さんはどんな楽器選んでますか?

伊藤さん:ちょっと前まではフレットのすり合わせ作業が必要な楽器を選んでいました。やり方がいろいろあって学校でならった戸田先生のやり方とは違う方法を教えてもらったのでそういったものを何本か連続して選んでいました。

リペアセンタースタッフ:学びたいものを選べるのは贅沢な環境かなと。

伊藤さん:最初はわからないことが多いですけど、臆病にならずにやっていくことで覚えていくこともあると思います。やったことがないままだと壁ができちゃうのでどんどんやっていくのがいいのかな。

イトー:今現在はどんな楽器を修理してるんですか?

伊藤さん:高価な楽器ですね。

イトー:取り扱う楽器は年代とか価格、状態の幅も広いですよね?

リペアセンタースタッフ:様々ですね。ヴィンテージと言われる物もありますし。修理を進めていく中でありがちな故障のパターンとかは掴みやすいんじゃないかな。

イトー:プレイヤー相手のリペアとは違ってくるんですかね。

伊藤さん:プレイヤーの楽器ならそのプレイヤーが弾きやすい、実現したいことを目指すと思うんですけど、そうではないので調整の基準を決めるのがなかなか難しいですね。今は社員の方にチェックを受けているのでその社員の方の基準に近づけていますが、チェックをする人によって大事にしてるところが違うので基準は変わっていきますね。最終的にチェックがなくなったときは自分の中でこうじゃないかという落としどころを決めなきゃいけないと思っています。

イトー:ノルマはあるんですか?

リペアセンタースタッフ永沢さん:スタッフにもよりますし、リペア内容にもよるので一概には言えませんが、意欲次第で相当数の楽器に触れることになるのは確かです。弊社ではそれを意欲的に楽しめる仲間を募集していますね。必ずしも本数だけが大事ってことではないと思うんですけど、本数を触るのは仕事を通じてじゃないとあり得ないので、そういう意味では伊藤さんにとってもウチに来ていただいてよかったんじゃないかなと思います。

イトー:では伊藤さんには年間1,000本目指して頑張って頂くということで(笑)

一同:(笑)

イトー:伊藤さん、石橋楽器店リペアセンター永沢さん本日はありがとうございました!

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