2019年10月23日
作曲を学ぶ学生によるオーケストラアレンジ曲を実演~弦楽四重奏ワークショップ
- 作曲アレンジ科
- 弦演奏科
オーケストラ初心者も受講OK「オーケストレーション」の実演
オーケストラで使われる楽器ひとつひとつの説明からはじめ、最終的にオーケストラ曲を書き上げる授業【オーケストレーション基礎】を実演するワークショップを開催致しました。
DTMで鳴らす「ストリングス」と生演奏で響く音の違いを実感できる貴重な機会。「オーケストレーション基礎」の授業を受け持ち、このワークショップを主催した大曽根 浩範講師よりコメントが届いています。
今回で8回目になる弦楽四重奏ワークショップですが、これは「オーケストレーション基礎」を履修している学生が書いた弦楽四重奏曲を、外部から招いた演奏家に演奏してもらい、奏法や音色、表現、楽譜の書き方など、和声や対位法などの作曲理論では学べないリアルな演奏上の問題を、様々な視点から切り込み、その場で相談しながら弾き比べて検討していく、曲を書く人に向けたワークショップです。
回を重ねるごとに作品の質も向上し、検討する内容が濃くなっている気がします。今年は8人が作品を出しましたが、どの作品もそれぞれの個性が光るものばかりで、4時間半にわたって濃密な時間が流れました。
作曲の勉強には理論や楽器法など様々な項目がありますが、リアルな演奏とその問題に触れることもそれらと同じくらい重要です。特にオーケストラのような大編成の作曲を目指す場合には欠かせない勉強だと考えているので、出品者にとって得るものがたくさんあればと思っています。
指導講師 大曽根浩範
出品した学生達の感想
今回、ワークショップ(以下WS)で演奏していただいた作品は、昨年DAWで作った弦楽オケの曲の一部を四重奏用にアレンジし直したものでした。いつもは自分の頭の中にある脳内妄想オーケストラをDAW上で再現する、ような感じで曲を作っています。常日頃から、実際に人が演奏するとなると、これは再現可能か否か?…と思われる箇所が結構あるのは自覚していて、このWSは自分の作った曲が実際に目の前で演奏される、という貴重な機会でした。
色々と勉強になったことは言うまでもありませんが、楽譜という媒体に落とし込んだ脳内妄想音源と、実際に奏者の方生み出す音・サウンドの違いを如実に体感できたことが、自分にとっては一番大きな収穫だったかと思います。
自分の目の前で生きている音を捉え、楽譜に落とし切れなかったことを伝えてその場で音色(奏法)を変えていただいたり、どうして譜面上の(≒脳内妄想の)音楽が実現し難いのか説明下さったり、それに近い表現で実現可能なオプションを提示いただいたり。。。なんとも贅沢な時間でした。
また、自分の作品だけでなく、他の受講生の作品が演奏されるのを聴いている時間が、非常に興味深く、面白かったです。流れを見ていて、「ん?これって演劇のワークショップだったっけ?」と思うような時間もありました。
音による表現を追求する過程で、作者の想いや感情を言葉で奏者に伝えることも、とても大切なんだなぁ〜、と感じました。
それにしても、あれだけの曲を演奏して下さった奏者の皆さんには、本当に感謝です。
出品者 アートセラピー科2年
「弦楽四重奏ワークショップに参加して」
オーケストレーション基礎の授業では、弦楽器の音色や奏法などの特徴を、映像も参考にしながら学んでいました。しかし実際に作曲してみると、作曲者の考えを演奏に表すためにはどのように書いたらよいのか、わからないことがいろいろ出てきました。
ワークショップでは、自分の考えを伝えて、演奏家の方が弾き比べて下さり、試行錯誤しながら曲を完成していきました。音価によるピチカートの違いや、弱音器装着の音色など、様々な演奏を聴き比べることができて、とても勉強になりました。特に、ダイナミクスや発想記号についての解釈を、演奏家の方から直接聞けたことが、たいへん参考になりました。作曲を勉強していく上で、非常に有意義なワークショップでした。
出品者 単科生コース
今回のワークショップで、特に学べた点は2つありました。一つはオーケストラとの音の鳴り方の違いです。オーケストラ編成での弦楽器群は一つのパートを複数人で演奏する為、音の揺れはあまり感じませんが、今回のワークショップで自分が作曲した曲を演奏して貰ったときには自分が思っていたより音の揺れを感じました。それを想定した上でのテンポ設定や和音の積み方をまだまだ突き詰めることが必要だと実感しました。
もう一つは、演奏家がどのような見方で楽譜を見ているかということです。様々な楽譜を見ている方々でしたので、作曲者の意図をしっかり汲み取って頂けましたが、だからこそ出来るだけ分かりやすい作曲を心掛けたいと思いました。アマチュアの方が演奏する時にも分かりやすくというのはもちろんそうなのですが、プロの方々に対しても、楽譜から読み取れることと自分の意図が相違ないようにこれから作曲して行きたいとより感じました。
他にも学べたことは多く、またなによりも自分の作曲した曲をプロの方に演奏してもらえる喜びを感じられた実りの多い一日でした。この経験を糧にして、これからの作曲活動に取り組んで行きたいです。最後になりますが、ワークショップを企画して下さった大曽根先生、演奏者の方々、当日聴きにいらして下さったお客様方に感謝申し上げます。
出品者 コンピュータミュージック科1年
今年度も開催。弦楽四重奏レコーディング
【オーケストレーション基礎】の受講者には、今回のワークショップに続き音響デザイン科とのコラボ講座として、弦楽四重奏レコーディングの機会があります。作曲・弦楽器の演奏・指揮・音響、それぞれの講師が一同に会しそれぞれの指導を行います。
■ オーケストレーション弦楽四重奏レコーディング
2019年12月7日(土)
13:00頃~開始予定
会場:国立音楽院 東京校1F KMA Recording Studio
指導講師
作曲指導:大曽根 浩範
演奏指導:澤田 若菜
指揮指導:箕輪 健太
音響指導:吉崎 拓郎
こちらのコラボ講座は、一般の方もご見学頂けます。スタジオの収容人数の関係で少人数のご案内となりますので、ご見学を希望される方はお早めに下記までご連絡下さいませ。