2023年06月24日
クラリネットの修理・調整の方法を徹底解説【管楽器リペア】
- ウインドオーケストラ科
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この記事では、クラリネットの取り扱い方、よく起こる問題やその対処法と予防法。
また、修理の際に実際、どんな作業をやっているのかをご紹介いたします。
目次
はじめに
クラリネットは、さまざまなトラブルが起こり、修理や調整を必要とする楽器です。
練習後に毎回ご自身で行うお手入れと管楽器専門店へ定期的に調整に出すことで、長く良い状態を保つことができます。
クラリネットの多くは、グラナディラ(アフリカン・ブラックウッド)という非常に硬い木材から作られている楽器で、天然の有機物から作られるクラリネットならではの故障やトラブルについてお話していきたいと思います。
他にも、コルク樫から作られるキーなどに貼り付けるコルクや、クラリネットの孔(トーンホール)を塞いでいるタンポも羊毛フェルトから作られる天然素材となります。
全体調整
専門店で管楽器修理をお願いすると、とりあえず、全体調整となることが多いと思いますが具体的になにをやっているのかまでは知らないという人も中にはいるのではないでしょうか。
お店にもよりますが、こんな事やってるという内容をご紹介していきます。
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クリーニング
クラリネットは練習を続けていると、汗や息に含まれる水分、皮脂や余分に注してしまったキーオイルの油汚れでクラリネットの表面が汚れてきたり、管体に空いている孔(トーンホール)の内側に、汚れが付着し溜まってくることで音程感や鳴り方を著しく悪くすることがあります。
毎日練習する方であれば、半年に1回程度、トーンホールのクリーニングをすることで、コントロールをしやすい状態を維持することができます。
管体もクリーニングをしてもらい、植物系の油を表面に塗ることで乾燥から守るだけでなく、見た目にも艶が出るのでお勧めです。
↑上管だけオイルを塗っていて少しですが、艶が出ます!
キーオイルも古くなった物は、すべて取り除いて綺麗に拭き上げたら、新しいオイルを注していきます。意外とドロドロで汚くなっていることが多いです。
長期間使っていないクラリネットは、油が完全に切れていて、ひどい場合は錆で固着して分解ができないこともあります。どうにかこうにか分解しますが…
とある資料で、クラリネット奏者は、上記のトーンホールのクリーニングができるように分解・組立が出来なければいけないとどこかで読んだ気がします。
人によっては難しくない作業ではあるので、確かになと考えさせられました。
国立音楽院では、クラリネットの分解・組立体験をやっているので、もし興味があればご参加いただき、案外いけそうだったら、ご自身でやってみるのも手かも知れません。(※自己責任でお願いします)
黒くなってしまったキーをピカピカにする内容に関してはタンポ交換の章で、ご紹介しています。
チューブの息漏れ
クラリネットのレジスターキーとサムチューブは管体に埋め込み、接着剤で固定しています。しかし、この接着剤が劣化することで息漏れを起こすこともあります。定期的なメンテナンスで付け直しを行うのが良いとされています。
タンポ調整
タンポ調整とは、タンポとトーンホールがぴったり塞がるように角度を合わせることを言います。
クラリネットは天然素材から作られると、お話ししました。木材や羊毛フェルトは、季節変動の影響を受けやすく、高温多湿な夏は管体やフェルトが膨らみ、低温乾湿な冬は逆に収縮するという特性があります。
この、管体やフェルトの変化によって、タンポの合いがわずかに悪くなり、音は出るけどなんだか吹きずらい、ということがあります。
そのため、特に日本では、季節に合わせたタンポ調整を行うべきだと考えています。
バランス調整
木管楽器には、バランス調整という項目が多くの楽器店で見受けられます。
バランスとは、1つのキーを押すと2か所以上のトーンホールが塞がるキーのことで、バランスが悪いと2か所のキーが同時に塞がらず、音抜けや音程を著しく損ないます。これは、タンポの摩耗具合や、季節によるタンポと管体の変化で起こることもあり、なにもしなくても徐々に悪くなっていくこともあります。
大きく消耗していない楽器の場合は、ここまでの作業で終了です。定期的にメンテナンスをすると、あまり変化がなく、良くなったか分からないという方もよくいますが、いい状態をキープするという意味も大きいので、メンテナンスのこと、ぜひ気にしてみて下さい。
次の章からは、上記よりも重症の場合について触れていきたいと思います。
割れ修理
クラリネットの「ひび割れ」とは木製管体が環境の急激な変化に耐えられずに、木製管体に亀裂が入ってしまう現象で、これはオーボエやピッコロ、ヴァイオリン等の木製楽器によくある症状のひとつです。木目と区別がつかないくらいの小さなひび割れから、発見が遅れると管体を貫通する重度なものもあります。
じっくり観察しないとわからない程度のひびであれば、割れていても音は鳴るのですが、そのまま放置して練習を続けるとだんだんとヒビが大きくなり、最近吹きにくいなと気付いたころには重度の修理が必要となる場合もあります。
※グリーンラインやグラナディッテなどの、木を粉砕して再接着した素材は割れにくいですが落下するとガラスのように砕け、修理が不可能ですので注意が必要です。
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なぜ割れるのか
落としたりぶつけてしまったりで欠けたりヒビ割れが生じることもありますが、実はクラリネットが割れる原因の多くは、急激な温度や湿度の変化によるものです。
例えば、冬の室温5℃の部屋で冷やされたクラリネットをケースから取り出してすぐに演奏すると、水分を多く含んだ36℃ほどある人間の息が管内に入り、内部の環境が5℃から36℃に、湿度も乾燥からほぼ100%へと急激に変化します。
木は高温多湿なほど膨らみ、低温乾湿なほど縮むという特性があるため、内側が急激に膨らみ、耐えられなくなった外側がヒビ割れるというわけです。したがって、冬場は特に注意が必要な他、暑い時期もエアコンの冷風等がクラリネットに当たることで同じような状況となるため常にクラリネットにとって良い環境を心がけ無ければなりません。
ヒビ割れを防ぐには
上記のようにならないために、寒い季節に練習するときには、管体を外側から温めましょう。
管体上部を握って外側を温めたり、くるんで使う専用の保温パッド等がありますが徐々に温められれば何でも構いません。間違ってもヒーターなどで温めたりはせず、人肌に近い温度で徐々に温めます。
夏場には、逆に冷房で冷やさないように、直射日光で熱くなることがないように注意しましょう。
また、管内に水分が残ったままの状態だと湿度や温度の変化を受けやすいため、練習の間もこまめに水分を取ることが大切です。基本的なことではありますが、これらの対策を怠らないことで、割れる可能性は少なくなります。
もっとも割れやすい時期は新品購入直後
クラリネットを新品で購入した直後から3ヶ月くらいまでがもっとも割れやすい時期となります。
新しい楽器だと、嬉しくて何時間でも練習ができてしまうことでしょう。しかし、そこはぐっと堪えて、じっくりと楽器を慣らすように努めましょう。
制作の過程で長年の乾燥期間を経た新品のクラリネットは、水分を吸収する量が多く、膨張しやすくなっています。そのため、購入後に長時間、練習をしてしまうと一度に大量の水分を吸収、膨張し、非常に危険な状態となってしまいます。
新品のクラリネットは、最初の2日間は5分程度、その後1週間は1日15分程度で吹き終えるのが望ましいです。その後も吹く練習時間を一気に増やさず、徐々に増やしていきましょう。購入した季節にもよりますが1〜2ヶ月程度かけて慣らしていくとクラリネット内の水分量が安定してきて割れにくくなる事かと思います。
そこまでしてなお、割れてしまうこともありますので、常に練習環境には注意し続けましょう。
クラリネットが割れてしまったときは?
割れの深さや長さにもよりますが、軽いひび割れであればクラリネットの素材であるグラナディラを粉末状にしたものと接着剤と混ぜ込んだものを流しこみ、割れた部分をふさぎます。
内側まで貫通するようなひび割れとなると、割れがこれ以上、広がらないように加工をし、ピッチ感等に関係する内径の大きさを修正します。その後、上記のように接着剤を流し込み、目立たないように綺麗に仕上げます。
腕の良い、リペアマンであれば「どこが割れてたっけ?」というほど綺麗に仕上がります。
オーボエはクラリネットよりもさらに割れやすいためか、オーボエ奏者は、ご自身で割れに接着剤を流す方もいるようです。
ただ、一般のお客さまがご自身で処置をすると、見た目が悪くなる場合もありますので、なにか少しでも気になった際は管楽器専門店にご相談くださいませ。
ジョイントコルク交換
クラリネットの接合部のジョイントコルクは、潰れたり摩耗したりで緩くなってしまう他、接着剤が劣化して剥がれてしまうことは避けられません。ですが、日々のお手入れでこの劣化スピードをおさえることができます。
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ジョイントコルクの劣化とは?
コルクは、使用とともに緩くなったり、剥がれてきたりします。このような状態になるとジョイント部分がカタカタと動いて安定せず、ひどい場合は管が抜けて脱落してしまうこともあります。
筆者の知り合いで、コンサート中にグリーンライン製のクラリネットを使用し、スワブを通す際に下管が脱落して、粉砕してしまったという方がいます…修理代金は教えてもらえませんでした。
※グリーンライン・・・木材を粉砕して固めたもの。落とすとガラスのように砕け、修理不可
また、ジョイント部分のコルクがゆるむと楽器の気密性が低下し、息漏れの原因となり、演奏に支障をきたします。
天然素材であるコルクが、時間の経過とともに劣化することはごく自然なことですが、コルクグリスがコルクの劣化を早める、ということは案外知られていません。演奏前に、クラリネットにジョイントコルクに塗るコルクグリスはコルクに浸透すると、接着剤を溶かす作用があるため、長時間グリスを塗ったままにしていると、劣化が進みコルク交換が早く必要になってしまいます。
↑剥がれかけている、ここから水が浸み込むと更に接着剤が剥がれる。
また、大量のグリスがついたままケースにしまうと、コルク部分に汚れやほこりがついたり、ケースにグリスがついて、汚れてしまうこともあります。
ジョイントコルクが劣化しないための予防法
コルクグリスは必要最低限に薄く塗るように注意して、きつくなったら再度、薄く塗るようにしましょう。
※流派によって毎回塗って、拭き取る人もいます。吹奏感も関係している。
ジョイントコルクが緩い、剥がれてしまったときは
元々付いているコルクを除去していきます。コルクを剥がしたら、楽器本体とコルクをつないでいた接着剤もきれいに取り除きます。この際、剥がしやすいコルクは、しっかりと接着出来ていなかったことになります。
接着剤をキレイに除去したら、新しいコルクを貼り付けつけ、ジョイントの緩さと形を整えて完了です。
キーコルク交換
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キーコルクの役割
キーの裏側に接着されているキーコルクですが、キー同士やキーと管体がぶつかってガチャガチャと鳴るのを防ぐクッションの役割があります。キーコルクは接着不良や接着剤の劣化で剥がれたり欠けてしまったりで、交換が必要になる場合があります。
また、キーコルクは、キーの開きを調整する役割も担っているため薄すぎるとピッチが高くなり過ぎてしまったり、逆に、厚すぎると音抜けが悪くピッチが低くなってしまう場合もありますので、この1音だけ音抜けがおかしいという場合は、キーコルクの厚みを調整することで、改善する事もあります。
キーコルクが剥がれてしまったときは
剥がれてしまったコルクは、接着剤で貼り付けることで対処できますが、使い慣れていない場合は、接着剤が溢れてしまったり誤って別の箇所に垂れてしまって取れなくなるという事にもなってしまいますので、自信がなければ修理工房に持ち込む事をお勧めします。接着剤だと、怖いという場合はマスキングテープ等でくっつけておきさえすれば、クッションとしての役割は果たせます。
本番直前にキーコルクが取れてしまった、という話しはよく聞きます。なにかしら対策できるものを常に持っておくと良いでしょう。
キーコルクの貼付けと形成
修理工房でキーコルクを交換する場合は、どのメーカーのどのキーにも対応できるように、コルクシートと呼ばれる、四角形でペラペラの1枚のコルクから切り取って使用します。
必要な大きさを切り取り、コルクをキーに接着剤でしっかりと貼り付けます。接着もコツが必要で、ここが甘いとすぐにコルクが剝がれてしまいます。しっかりと貼り付けが完了したら、はみ出ているコルクをキーの形にそって、剃刀の刃を使って切り取ります。
コルクをまっすぐ、綺麗に切るためには、かなりの練習を要しますが、プロである以上は、見た目にもこだわる必要があります。
バネ交換
金管・木管どちらも各所でバネが使われいます。木管楽器で使われるバネのほとんどは、張力によってキーを開いたり閉じたりする、針状のバネや板状のバネです。ほぼすべてのキーにどちらかのバネが取り付けられていますが、このバネも消耗品となっています。
バネは、ステンレススチールや硬質鋼と言った合金から作られていますが、経年劣化で折れてしまうことがよくあります。
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バネ折れを予防するには
経年劣化で折れてしまうと話しましたが、劣化を早める原因として、錆による腐食で耐久力が落ちてしまう事もあります。
練習後は水分をしっかり取り除き、ケース内で湿気がこもらない用にすることで、バネが錆びてしまわないように心がけましょう。
バネが折れてしまったときは
なぜか、本番前に限ってバネが折れてしまう、という事故をよく耳にします。本番前に限らず練習中でも、バネが突然折れてしまうと困ることかと思います。
ですがこんな時、身近にあるもので対処することができます。
そのあるものとは、「輪ゴム」です。
輪ゴムをうまく管体に引っ掛けることで、キーを閉じたり、開いたりすることができるので楽器に合う大きさの輪ゴムをいくつか持っておくと便利でしょう。
バネの交換
針状のバネ(針バネ)は、キーポストと呼ばれる管体にねじ込まれている突起や、キーに直接、差し込まれています(圧入)。折れなくても圧入が甘く、針バネがうまく作動しないということもあります。
針バネ交換をする際、まず古い針バネを除去する必要があるのですが、するっと簡単に抜けてしまい、しっかり圧入されていないこともあります。
古い針バネを取り除いたら、新しい針バネが抜けないように加工して、圧入します。この加工がしっかりできていないと、後にキーの動作不良を起こしてしまいかねません。
圧入が完了したら針バネを曲げることで、張力を持たせます。
曲げ方にも色んな流派があるらしい…
板状のバネ(板バネ)はキーにネジ留めされているだけなので、適切な長さの板バネを取り付け、曲げるだけと、針バネに比べると簡単な作業です。しかし、曲げ方も正しく行なわないと、張力がうまくかからず、キーがしっかり閉じないということにも繋がります。正しく構造を理解する必要があります。
タンポ交換
文字通り、タンポを交換するのですが、その前に、このタイミングがベストな作業があります。
それは、キーの磨きです!
キーがサビたり、黒く変色したことがある方もいるのではないでしょうか。タンポがついている状態だと、薬品やサビ取り剤が使えないため、このタイミングで行うのがベターです。
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磨き作業工程
↑薬品処理前
↑薬品処理後
↑薬品処理後からさらに磨いていきます
↑磨き後
いつ交換すればいいか?
コルクと同じく消耗部品である、クラリネットのタンポはフェルトを革や動物の腸、魚の浮袋で包んで作られています。使い続けると毛羽立ったり、擦り切れて穴が空くと気密性がなくなってきて、交換が必要となります。
また、フェルトなので衣類と同じように虫(カツオブシムシ)に食べられて交換せざるを得ないタンポも見受けられます。長年、保管をしていて久しぶりに使おうとしたら音が出ないとなると、カツオブシムシにやられている可能性が高く、管体はもちろん、卵があるかもしれないのでケースもクリーニングをする必要があります。練習をしなくとも、たまにケースを空けて換気をして防虫をしましょう。
長年使っていないと、もう1つタンポを交換しなければならない問題が発生しています。それは、タンポをキーに固定している接着剤が劣化して、ほぼキーに嵌っているだけで、いつ脱落してもおかしくない状態となります。
↑虫に食われたタンポ
↑少しひっかけたら取れたタンポ
筆者も、10年以上昔の中古のオーボエを購入して国立音楽院のオーケストラの授業に参加しようとした際に、直前にタンポが脱落してしまい危うく授業に参加できなくなるところでした。即席で取り付けてなんとか授業に参加でき、はじめて管楽器リペア科で良かったと思った瞬間でした。
虫が湧かないための予防法
せっかく楽器を始めた方でも、受験勉強や進学、就職、結婚などライフスタイルの変化でしばらく楽器から遠ざかる時期もあると思います。もしも吹かない時期が続いたら、定期的にケースをあけて風通しをし、日ごろ行うようなお手入れをしてあげてください。よく晴れた日に、ケースだけ天日干しをすることも効果的です。
愛着を持ってお手入れを続けていると、またいつか楽器を吹きたいと思ったときに少しでも良い状態でスタートすることができるのではないでしょうか。
タンポに使う接着剤”シェラック”とは
さて、このタンポをキーに取り付けるさいに用いるのがシェラックと呼ばれる接着剤で、ホットボンドのような使い方をします。(カイガラムシの抽出液から作られているらしい…)
このシェラックも徐々に劣化していきます。ものにもよりますが、5年もすると劣化によって、説明が難しいのですが楽器の鳴りが、なぜか悪くなります。また、もう数年すると上記のようにポロッと取れてしまうこともありますので、タンポが綺麗だったとしても、シェラックの劣化で交換をする必要がある場合もあります。
タンポとシェラックを新しくすると、リードを新しくしたようなパリッとした音になりますが、全タンポ交換は高価で、今までと大きく演奏の感覚が異なるので、少しずつ交換をすることをお勧めしています。
タンポはイタリア製なのですが、EUが出来る前の通貨がリラだったころは、タンポ1つ2円だったそうです…現在のユーロレートだと200倍以上の値段です…
タンポ交換
まず、キーを温めることでシェラックを溶かし、古いタンポを外します。キーのタンポがはまっている部分(キーカップ)に残ったシェラックを綺麗に取り除いたら、新しいタンポにシェラックを塗ってキーカップに取り付けていきます。
その後、音孔(トーンホール)と呼ばれる、クラリネットの孔とタンポの角度を合わせ、しっかり密閉されるように調整していきます。
↑内側を綺麗にします
↑タンポにセラックを塗る
↑キーカップにはめる
↑バーナーでセラックを溶かしながら調整
まとめ
日々のメンテナンスをきちんと行うことで、良い状態を長く保つことができます。しかしながら、木製楽器は季節変化の影響を受けやすいため、しっかり水分をとったり、表面を磨いたりという基本的なお手入れをしっかりやっていただいたとしても、楽器のコンディションは少しずつ変化していきます。毎日お使いになっている、ご本人さまではなかなか気づきにくい点もたくさんありますので、ぜひ季節ごとに、それが難しくても1年に一回はメンテナンスに楽器店を訪れてみることをおすすめします。部品の交換や全体のバランス調整を行うことで息の入り方や吹き心地が良くなり効率的で快適な楽器ライフを送れるように全力でサポートさせてください。
ライター・スタッフ紹介
齊藤 晃
国立音楽院教務部・受付担当。2021年3月本校の管楽器リペア科を卒業&入社。受付業務の他、学内インフラの整備、各種学内イベントのセッティング、自身の修理工房である管楽器工房 織の経営も行う。広く浅く業務をこなすため、今日も便利に活用されている。